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意見書 教育委員会の所管する事務の点検及び評価 | 宇治市公式ホームページ 宇治茶と源氏物語のまち

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(1)

宇治市教育委員会事務執行の評価に関する意見書

竺沙知章(京都教育大学大学院連合教職実践研究科教授)

(2)

1.はじめに

本意見書は、京都府宇治市教育委員会が平成28年度に実施した教育委員会活動及び事務事

業について、教育委員会事務局担当者からの説明及びその作成による報告書(「教育委員会の

活動状況」「教育委員会の所管する事務事業の管理・執行の状況」)と関連資料(「宇治市の教

育・平成28年度」、「宇治市教育振興基本計画」)に基づいて、教育委員会会議及び総合教育会

議の議事要旨も参照しながら、 その適切さを評価するものである。

本意見書は、教育委員会事務局による自己点検、評価の適切さを評価するものであること

から、報告書の内容に即して、その妥当性を評価することとした。妥当性を評価するに当た

っては、目標の適切さ、点検・評価の視点や方法の適切さ、目標の達成度に対する評価の適

切さ、改善策や拡充策の適切さを検討した。検討に際しては、教育委員会事務局による点検

・評価の根拠や考え方の妥当性を重視した。特に、平成26年3月に策定された「宇治市教育振

興基本計画(以下、「基本計画」)」を踏まえ、その執行状況について、数値目標、指標なども

視野に入れて 、点検、評価を行った。また宇治市では小中一貫教育の推進に取り組んでおら

れることから、昨年度に引き続き、小中一貫教育を重視して評価を行うこととした。

なお本意見書は、竺沙が榊原の意見、見解を聴取した上で、全体を統括し執筆したもので

ある。この点から、本意見書は両名の責任において作成されたものであるが、執筆内容につ

いては竺沙が責任を負うものである。

2.「教育委員会の活動状況」に対する意見

教育委員会会議の開催は、月1回の定例会のほか、臨時会が9回も開催されている。 臨時会

議が非常に多く、教育委員にとっては例年になく会議の多い1年であったと言える。教育関係

の検討事項、議案が多くなり、教育委員会における協議の重要性が高まっているように思わ

れる。その意味で、教育委員会協議会を年12回開催し、会議以外での協議を重ねていること

は重要である。学校訪問も例年通り実施し、 小中一貫教育を学校経営の中核に位置づけ日々

の教育活動につなげていること、学力の充実・向上、生徒指導、人権教育、特別支援教育に

ついて課題の解決に向けた校内体制の充実と組織的・計画的な指導を推進することを重点事

項とし、学校関係者との意見交換も行い、学校の実態を把握するように努めている。教育委

員会としての責務を果たすための活動を積極的に進めていると評価できる。

総合教育会議については、例年通り2回開催された。第1回は、総合教育センターでの開催

で、総合教育センターの概要をセンター職員より説明を受けるとともに、施設見学を行って

いる。教員の資質能力の向上が課題とされ、教員研修の充実が求められている中で、府の総

合教育センターの研修などの内容について理解を深めることはきわめて重要であり、非常に

意義のある会議が開催されたと評価するこ とができる。意見交換においても、宇治市の特色

に即した教職員研修の充実を求める意見が出されている。教職員研修の必要性、重要性につ

いて、教育委員は認識を新たにしたような印象を受ける。こうした意向を宇治市の教職員研

修に反映していくように努めていただきたい。第2回は、大学との連携について協議がなされ

ていた。学校教育の内容をより豊かなものにするために、地元大学との連携を進めることは、

非常に有効であり、そうした点について総合教育会議で協議を行うことは意義のあることで

ある。大学との連携は、子どもの学びを豊かなものにすることにつながるとともに、継続し

ていくことにより、教員の力量の向上にも結びつくはずである。大学の教員に委託するとい

うことよりも、小中学校の教員が大学の教員と連携することも重視し、小中学校教員の経験

(3)

充実につなげていっていただきたい。総合教育会議での協議事項を工夫し、有意義な会議が

開催されていると評価することができる。

3.「教育委員会の所管する事務事業の管理・執行の状況」の点検・評価に対する意見

(1)学力向上をめざす教育の推進(基本計画 施策1)について

学力向上に関わる施策において、特に注目されるのが、「宇治学」に関する成果である。京

都文教大学と連携して、小中学校の教員が参画して、非常に優れた副読本が作成された。教

科書として使用できる内容となっており、よく練り上げられた教材であると思う。体験学習、

探求学習、グループ学習、学習発表など、多様な学習を進めることを容易にする内容となっ

ており、教師の指導、子どもの学習の観点から内容が構成されている。 指導の手引きも詳細

に、具体的に作成されており、有効な活用と市全体として足並みのそろった教育の展開を促

進するものとなっている。 こうした教材開発により、市全体での「宇治学」の研究、学習を

進めることを可能としており、また市民の関わりを深めるものでもあり、市全体の教育の力

を高めていくことが期待できる。新聞でも取り上げられ、注目を集めていると言える。見栄

えもよく、財政が厳しい中で、かなりの資源投入がなされており、重要な施策であることが

わかる。今後、他の学年の副読本の作成を進めていくとともに、 この副読本を活用して、よ

り広がりのある学習が展開されるような授業研究を進めていくことが必要となるであろう。

小中一貫教育推進に関しては、小中一貫教育非常勤講師の配置がなされており、小中一貫

教育の推進体制の整備が適切になされていると言える。 各中学校ブロックにおいて、ジョイ

ントプランを作成し、組織的、体系的に、そして各ブロックの実態にあった教育の展開を可

能としている。宇治市小中一貫教育推進協議会でも取り上げられていたが、非常勤講師の後

補充の配置により、チーフコーディネーターの調整により、各中学校ブロックの教育が推進

されており、まだまだ課題はあるようであるが、施設一体型の宇治黄檗学園はもちろんのこ

と、施設分離型の他の学校においても、小学校と中学校の教員間の交流が進み、一貫性のあ

る教育の推進が着実に進められていると評価できる。 また宇治市小中一貫教育推進協議会で

は、委員が合同研修会などの機会に各学校を訪問し、その実態を踏まえた活発な議論が行わ

れており、外部の関係者の意見も参照しながら市全体の運営が進められている。小中一貫教

育推進費は効果のある事業となっている。報告書の今後の課題において、「必要な見直しを行

っていく」と記されているが、 非常勤講師の配置とその人員の確保は、今後も続けていって

いただきたい。

教育研究費による教育研究員による研究活動は、「宇治学研究部」による副読本作成の研究

など各部での成果が着実に上がっていると思われる。各教員が自らテーマをもち研究を行う

ことは重要なことであり、特定の研究員に限定することなく、すべての教員が、校内研究中

心に、市全体での研究交流の機会も持ちながら、自ら研究を行っていくことが大切であろう。

小中一貫教育の中学校ブロックでの取組みが研究の場となることも必要であろう。今後の課

題で記載されている「研究員に 過度の負担がかからないよう」ということが懸念されるので

あれば、教員による研究のあり方を見直すことも必要であろう。

学校図書館費について、図書館教育充実 事業費、図書館ボランティア養成事業費、学校図

書館図書充実費として配当され、学校図書の充実に努めている。地域の力も活用しながら、

児童・生徒の学習活動、読書活動の充実を進めている。学校図書の整備に関する目標値も達

成している。今後の方向性は「拡大」とされ、今後さらに充実を図ろうとしており、 評価で

(4)

児童・生徒がどのように利用しているのか、その実態を把握して、事業の成果の検証をすす

めていただきたい。

スクール・サイエンス・サポート事業もたいへん注目される。京都大学宇治キャンパスを

活用し、児童・生徒に最先端技術に触れる機会を提供し、理科への関心を高めるよい学びに

なっていると思われる。教員研修にも活用しており、理科の授業の水準を高めることが期待

できる。本事業は単発のものであることが今後の課題で指摘されているが、取組みそのもの

が単発の事業であっても、継続して取り組み、それを小中学校のカリキュラムに位置づけた

り、教材開発に活用したり、教員研修の必修の講座として位置づけたりするならば、宇治市

の特色ある理科教育として発展させることは可能ではないか。今後の方向性として「拡大」

とされており、今後の発展を期待したい。

(2)豊かな心をはぐくむ教育の推進(基本計画 施策2)について

目標値、指標値を見ると、不登校児童生徒出現率は、 平成27年度は、 若干ではあるが、増

加傾向にあったが、平成28年度は、小学校、中学校とも減少しており、改善が見られた。平

成24年度と比較すると、小学校ではまだ上回っており、目標にはまだ到達していない。特に

小学校における不登校への対応について検討することが必要であろう。 心と学びのパートナ

ー派遣事業費に関して、改善の必要が指摘されているが、平成27年度と同じような課題の指

摘となっている。「心と学びのパートナー」の派遣について、生徒の登校日全てに充分な対応

ができない状態を改善する必要性が指摘されていたが、今年度もその点は変わっていない。

小学校での不登校の問題については、平成27年度では「心と学びのパートナー」の配置の 課

題として指摘されていたが、平成28年度ではどのような対策を検討するのか、明確ではない。

この問題は、生徒指導研究推進費の事業と関わると思われるので、両事業の評価のすり合わ

せが必要ではないだろうか。

その生徒指導研究推進費に関しては、活発に事業が展開され、成果が上がっていることが

評価により伝わってくる。 ただ今後の課題において、いじめの発生しにくい学級集団作りに

向けた研修、虐待に対する正しい認識と迅速な対応に向けた研修の充実を図る必要があると

指摘されているが、なぜその必要性を認識されたのか、唐突なように感じる。学校において、

いじめや児童虐待に関わる現状を踏まえた研修の必要性の指摘となると思われるが、現状分

析がないために必要性の根拠が理解できない内容になっている。事業の評価として見るなら

ば、例えば、不登校児童生徒への対応に関わっては、生徒指導研究推進費、心と学びのパー

トナー派遣事業費、適応指導教室運営費が関わってくるが、この3つの事業を総合して、宇治

市の不登校児童生徒への対応策に関する評価が必要になるであろう。 担当課はいずれも教育

支援課であるので、少なくとも課内でそのような評価に関わる検討をする必要がある。

(3)たくましく、健やかな身体をつくる教育の推進(基本計画 施策3)について

生活習慣改善モデル事業が注目される。 文部科学省の事業委託を受けながら、地域協議会

を組織して、関係機関と連携して取り組まれている。研究協力校のすべての生徒が 、自ら睡

眠状況を振り返り 、生活習慣について考えた取組みは重要である。2年間の研究が完了したこ

とから、具体的にどのような成果があったのか、評価書でもう少し詳細にその内容について

記載が必要であろう。「0時までに就寝する割合」について、平成25年度と比較すると、中学

3年生は70. 3%から72. 5%に上昇しているので、そこに成果が表われているとみることはでき

そうである。今後、すべての中学校、そして小学校でも研究成果を活かして、生活習慣の改

善に取り組むことが必要であろう。今後の課題でも指摘されているように、小学生、保護者

(5)

家庭との連携を推進するためにも、生活習慣の改善の取組みは、継続して取り組んでいって

いただきたい。そのためにも、児童生徒の生活の実態、自らの生活に関する意識など、てい

ねいにその実態を把握すること が必要となる。委託研究の成果を十分に活かしていくことが

重要である。

(4) 特別な教育的支援が必要な子どもへの支援の充実(基本計画 施策4)について

特別な支援を充実させることは、きわめて重要な課題であり、宇治市においては適切に取

り組まれていると思う。いきいき学級支援員を配置し、個別に支援をすることができる体制

が整備されていると言える。 個別面談や取り出し指導など、適切な指導が展開されている。

個別指導計画の作成を充実させることにも取り組まれている。ただ「通常の学級に在籍する

特別な教育的支援を必要とする児童生徒 の個別の指導計画作成率」が、平成27年度で小学校

58. 8%、中学校77. 2%であったのが、平成28年度では、小学校52. 2%、中学校66. 3%に低下

している。なぜ低下したのかを分析し、取組みの効果や今後の課題で記述していただきたか

った。教員の 努力により対象となる児童生徒数が増加し、よりきめ細かな指導が充実したた

めなのか、あるいは指導体制に何か問題があったためなのか、ていねいな評価をすることが

必要である。今後の課題で、80%を目標とされていることから、次年度以降、個別指導計画

の作成にいっそう取り組まれるものと期待したい。

(5) 就学前の子どもに関する教育の充実(基本計画 施策5)について

就学前の子どもの教育は、小学校との接続の点で非常に重要である。自治体によっては、

小中一貫教育を就学前の1年間も含めて10年間で捉えているところもあり、小中一貫教育を推

進する上でも重要な課題である。宇治市では、「宇治市子ども・子育て会議」が設置され、福

祉部局と教育委員会が連携して、就学前の子どもの教育を充実させる体制が整備されている

点が注目される。目標値・指標値については、平成28年度において、「支給認定事務に係る業

務連携」と記載され、具体的な連携策の実績が示されている。「宇治市子ども・子育て会議」

において、福祉部局と連携した取組みが協議されていることから、会議の設置による就学前

教育の事業に関して総合的に評価することも必要ではないか。平成29年度は、支援策構築が

目標とされていることから、「宇治市子ども・子育て会議」を活用して、福祉部局といかに連

携して、支援策を構築していくか、今後の重要な課題となるであろう。目標値・指標値とし

てあげられていることから、 個別の事業評価として点検・評価をすることも検討されるべき

であろう。

すべての小学校が、保育所、幼稚園、家庭と連携して交流活動を実施していることは、保

幼小の連携として重要である。今後は、交流活動の質を高めていくことが必要であろうし、

市全体でどのような接続をしていくのか、検討し、方針を示していくことが必要であろう。

その意味で、 保幼小合同研修講座は重要である。指導方法の研修として、15グループに分か

れた研究協議が実施されており、充実した研修が行われたと評価できる。保育所の参加に課

題があるようであり、また幼稚 園と保育所との連携、公立と私立との連携という点で、意識

や取組みに差があることが課題として指摘されていることから、福祉部局と連携して、その

克服に努めることが必要である。具体的にどのような差があり、何が課題となっているか、

点検、評価により明らかにしていただきたい。

(6) 教員の指導力量の向上(基本計画 施策6)について

講座等開催費の評価を見ると、例年通り、 多様な研修講座が開設され、教職員研修が充実

していることが分かる。宇治市の実情、教育課題に対応した多様な研修講座が提供されてい

(6)

催費などは市が企画して提供する研修講座の事業であり、 施策の目標値・指標値が、そこに

位置づ けら れて いる事業 内容 と十 分に 整合 して いな いよう に思 われる。「講師を 招聘 した 校

内研修実施状況」「実践的な校内研修実施状況」の実施校が、小学校、中学校ともに若干では

あるが減少しており、目標としている校内研修の充実については、足踏み状態にあると言え

る。校内研修の実施状況を目標とするのであれば、校内研修を活性化するための施策、その

ための研修講座の開催などを進めることが必要であろ う。教員の力量は、校内でのさまざま

な研修によって高められるものであり、それを促進するような市の研修講座の企画を検討す

ることが求められるであろう。

(7) 地域社会の力をいかした学校運営の推進(基本計画 施策7)について

目標値・指標値の「各中学校ブロックの取組に対する学校関係者評価などの実施状況」を

見ると、平成28年度では2中学校ブロックにとどまっており、平成27年度からわずかに1中学

校ブロックが増加しただけである。目標に対する進捗状況も遅れているという評価となって

いる。なぜ遅れているのか、その実態についての分析、評価をする必要があるが、明確に提

示されているところはない。ただ 学校評議員委嘱事業の評価を見ると、取組みの効果として、

「ブロックの小中一貫教育の取組について、今後の課題も含めて意見をいただくことができ

た」と述べられており、中学校ブロックの 取組み に関する学校関係者評価が 実施されている

ように受け止められる。目標値・指標値に関する評価での2中学校ブロックという実績の評価

が実態を適切に踏まえられていないのか、学校評議員委嘱事業の評価 が2中学校ブロックだけ

の実績の評価になっているのか、いずれにしても評価が適切に行われていないように思われ

る。評価のあり方を見直すとともに、学校関係者評価など地域の方々の学校運営への参画を

進めるように体制を整備するように努めていただきたい。

次に、昨年度も指摘したが、「学校支援チーム活動費」の事業が注目される。これは、社会

福祉士、臨床心理士などの専門家を交えた「宇治市学校支援チーム」を設置するもので、こ

れは、国が進めようとしている「チームとしての学校」を先取りする事業である。支援チー

ム会議も14回開催されており、着実に事業が進められていると評価できる。この支援チーム

と各学校園との関係が密となり、各学校園での子どもへ支援の充実につながるように各学校

園での運営を強化するように努めていただきたい。またその成果は、生徒指導関係の成果、

例えば不登校児童生徒の減少などによっても検証することが必要であり、事業の位置づけも

検討していただきたい。

また京都大学宇治キャンパスを訪問する「スクール・サイエンス・サポート事業」は、地

域社会の力を活かすという点でも重要である。地域資源を活用するという点では、「宇治学」

(総合的な学習の時間)でも活発に行われていると思われる。したがって、「宇治学」(総合

的な学習の時間) に係る事業も、地域社会の力をいかした学校運営の推進の施策として評価

することも検討していただきたい。

(8) 時代のニーズに応じた教育環境の整備(基本計画 施策8)について

目標値・指標値を見ると、計画通り順調に事業が進められていることがわかる。

緊急安全対策事業費によって、多くの学校運営支援員(スクールサポーター)の登録を得

て、学校の安全管理に関わる重要な業務を遂行することができている。そして「子どもたち

との良いつながり」「地域と学校のパイプ役」といった安全管理にとどまらない効果を生んで

いることも注目される。人材確保の難しさ、研修や待機場所の問題など検討を要する課題が

あるようであるが、地域全体の問題でもあることから、課題を克服して、充実させていただ

(7)

業の位置づけも検討していただきたい。事業の名称も緊急安全対策事業となっているが、事

業内容を考えると 必ずしも緊急の安全対策にとどまらない広がりのある事業として意義があ

ることを考えると、事業の名称を見直すことも検討されてよいように思う。

(9)「家庭の教育力」の向上支援(基本計画 施策9)について

目標値・指標値において、「家庭学習の定着度の割合」が設定され、家庭学習の定着に取り

組まれている。実績については、目標に対して進捗状況としては遅れているという評価にな

っており、定着度は平成25年度比較すると、小学校6年生で平成28年度は低下している。宇治

市小中一貫教育推進協議会においても家庭学習のあり方が話題になっており、学校教育の課

題でもある。もちろん家庭学習の定着は、家庭での教育によるところも大きいことから、家

庭の教育力の向上の課題として取り組むことは必要である。ただ本施策に位置づけられてい

る事業は2つであり、いずれも家庭学習の定着を促す事業ではない。家庭と連携して家庭学習

を定着させる事業を設定し、その評価を実施していくことが必要であろう。小中一貫教育に

関する事業を「家庭の教育力」の向上支援としても位置 づけて、評価していくことが必要 で

はないか。検討していただきたい。

教育だより発行は、保護者、市民に宇治市の学校教育の取組みについて情報を発信する重

要な媒体で、 評価書からは市民によく読まれている様子がうかがわれ、成果を上げていると

評価できる。今後の方向性も拡大となっており、ますますの充実を期待したい。宇治市小中

一貫教育推進協議会において、小中一貫教育がまだまだ市民に認知されていないことが話題

となっており、その意味で広報は重要である。今後も 地道な広報活動を続けていただきたい。

(10)「地域の教育力」の充実(基本計画 施策10)について

「地域の教育力」の充実のための事業として、多くの事業が位置づけられている。市の教

育行政の方針がよく表われていると思われる。青少年の育成、放課後子ども教室や公民館な

どでの子どもの居場所づくり、少年補導や電話相談など、地域での子どもの育成に関わって、

さまざまな支援を行っていることがわかる。ただ目標値・指標値の状況を見ると、十分に成

果が上がっていないように思われる。夏休み 「ジュニアリーダー養成学習会」に参加した小

学生が 中学1年生で リー ダー とし て参加し た人 数は、平成27年度か らは 倍増した が、 平成 25

年度の半分以下であり、目標に対する進捗状況の評価で指摘されているように、改善が必要

であろう。青少年健全育成推進費の今後の課題において、活動の内容や広報の充実に努める

必要があると指摘されているが、なぜリーダーとして参加しようとしないのか、その原因を

もう少し探る必要があるのではないか。また各中学校ブロックで開催する地域懇談 会の平均

参加人数は、平成25年度の85人、平成27年度の96人から、平成28年度は78人とかなり減少し

ている。平成29年度の目標値・指標値は100人となっていることから、次年度の改善が期待さ

れる。

また施策10に位置づけられている事業において、地域懇談会に関わる事業 は、少年補導

活動の中で記載が見られるが、地域懇談会への参加者数を増加させることでどのような地域

の教育を進めていこうとするのか、明確にしていくことが必要ではないか。小中一貫教育の

推進とも関わる目標であることから、地域懇談会の活用を拡充していくことを検討されてよ

いと思う。

(11)学校教育と社会教育のつながりの強化(基本計画 施策11)について

昨年度も指摘したが、子どもの読書活動推進事業費において、「宇治市子どもの読書活動推

進委員会」が、非常に多くの課と学校司書、学校代表者が関わって設置されており、幅広い

(8)

が展開されていると思われる。「宇治市子どもの読書活動推進委員会」においてどのような検

討がなされているのか、もう少し記述があると、その活動がより理解でき、評価書として意

味のあるものになると思う。図書館に関わる事業に関して、非常に詳細に取組みや実績、取

組みの効果、今後の課題が記述され、理解しやすい評価になっている。他の事業の評価でも

参考にしていただきたい。

なお、学校教育と社会教育のつながりの強化の施策において、各中学校ブロックの取組み

に対する学校関係者評価などの実施状況が目標値・指標値にあげられ、また学校評議員委嘱、

学校評議員懇話会開催費という2つの事業が位置づけられているのは、疑問である。学校関係

者評価、学校評議員は学校運営に関わる取組みであり、社会教育は直接には関わらないもの

であるはずであり、これらは、学校教育と社会教育のつながりの強化のための事業とみるこ

とはできないのではないか。検討していただきたい。

(12)循環型生涯学習社会の進展(基本計画 施策12)について

生涯学習社会と言えるような環境が整えられていると思われる。生涯学習センター、公民

館、総合野外活動センターの活動は活発であり、市民のさまざまな学習活動を支援する体制

が整っていると言える。人材バンクの利用率も目標の達成がなされており、順調に進んでい

ると評価できる。今後は、生涯学習の質を高める取組みが必要となるであろう。長期的に取

り組んでいただきたい。

(13)スポーツ文化の推進(基本計画 施策13)について

スポーツへの関心が高まり、スポーツを楽しむ人々が増えていることから、市としてスポ

ーツ文化を育成することは、まちづくりとして、また子どもたちの育成としても重要な施策

である。必要な支援がなされ、順調に事業が進められていると言える。

(14)歴史と文化の継承・活用(基本計画 施策14)について

宇治市の歴史、文化の伝統を活かして、その継承、保存により、まちづくりを進める事業

は、宇治市の最も重要な事業であろう。着実に事業が進められ、ほぼ目標が達成されている。

今後は、推進施策にあげられている「市民の歴史文化への意識向上」をどのように図ってい

くかが課題となるであろう。それは、「宇治学」などを通じて、学校教育においても地道に取

り組んでいくことにより、果たされていくものと思われる。そのためにも文化財や景観を大

切にし、守っていくことを市の重要施策として続けていただきたい。

4.点検・評価のあり方について

平成28年度においても、 基本計画と各事業との関係を整理し、また目標値・指標値の一覧

を作成するなど、点検、評価のための工夫が 、継続してなされていると評価することができ

る。ただ全体的に、目標値・指標値と各事業との関連が見えにくいところが少なくない。も

ちろん、明確に関連づけられているものも見られるが、目標値・指標値を達成するために、

どの事業で、どのように取り組んでいこうとしているのか、関連が見えないものが多いよう

に思う。少なくとも目標値・指標値として示されている目標は、市において、また各学校に

おいて意識して取り組んでおられると思うので、予算措置のある事業以外にも、目標値・指

標値に関わる取組みを特定し、その概要、成果、課題などを評価していく必要があるのでは

ないか。教育委員会事務局ではなく、各学校で取り組んでいる目標もあり、そ うした目標に

関しては、各学校の自己評価などを根拠資料として、点検・評価し、報告書に記述していく

ことが必要であろう。点検・評価の対象とする事業の整理とともに、根拠資料の収集の工夫

(9)

り、学校における評価結果なども活用して、事業の評価をしていくこともあり得るであろう。

検討していただきたい。

5. 今後の課題について

教師の働き方改革が課題として認識されるようになってきている。京都府では、平成28年

度に学校の組織力向上プラン検討会議が、「京都式チーム学校を推進します」としてプランを

提言している。教員の超過勤務が課題になっているという実態は、以前から指摘されてきた

ことであるが、今日、社会全体で働き方改革が意識されている中で、クローズアップされて

きている。教員の勤務実態は複雑であり、働き方を改革することは単純に進めることはでき

ないが、それだけに、学校において、業務の改善をしたり、協働体制を強化したりして、学

校の組織的な取組みによって克服していくことが必要であろう。このように考えるならば、

学校の組織力がより重要になってくるのであり、その向上を図ることが求められる。その観

点から、宇治市の教育委員会事務局の事業を見ると、学校の組織力、マネジメントの力を高

めるという点が少し弱いように思われる。京都府の「学校の組織力向上プラン」を参考にし

て、宇治市でもそのための事業を実施していくことが必要ではないだろうか。今後の課題と

参照

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一︑意見の自由は︑公務員に保障される︒ ントを受けたことまたはそれを拒絶したこと

東京都庁第二庁舎︶ において︑事実上﹁独立﹂事務局を設置して︑

①配慮義務の内容として︑どの程度の措置をとる必要があるかについては︑粘り強い議論が行なわれた︒メンガー

第一五条 か︑と思われる︒ もとづいて適用される場合と異なり︑